大判例

20世紀の現憲法下の裁判例を掲載しています。

広島地方裁判所 昭和57年(わ)77号 判決 1982年5月11日

本店の所在地

広島市西区横川町二丁目八番一五号

法人の名称

広島アルミニウム工業株式会社

代表者の住居

広島市西区横川町三丁目一一番六号

代表者の氏名

田島忠雄

本籍

広島市西区横川町三丁目六二八番地の二

住居

同市同区同町三丁目一一番六号

会社役員

田島忠雄

大正一二年一月二日生

右各被告人らに対する法人税法違反被告事件について、当裁判所は検察官野田一雄出席のうえ審理をし、次のとおり判決する。

主文

被告人広島アルミニウム工業株式会社を罰金五、〇〇〇万円に、

同田島忠雄を懲役一年六月に、

各処する。

被告人田島忠雄に対し、この裁判確定の日から二年間右刑の執行を猶予する。

理由

(罪となるべき事実)

被告人広島アルミニウム工業株式会社は、広島市西区横川町二丁目八番一五号に本店を置き、資本金四、五〇〇万円で、アルミニウム製品等の製造販売業を営むもの、被告人田島忠雄は、同社の代表取締役としてその業務全般を統轄するものであるが、被告人田島忠雄は同社の業務に関し、法人税を免れようと企て、

第一  昭和五三年一月一日から同年一二月三一日までの事業年度における同社の実際の所得金額が別紙第一のとおり五三九、七一二、八二八円(当期利益金科目の、公表金額と犯則金額との合計額。判示第二、第三においても同じ)で、これに対する法人税額が二〇九、〇二四、八〇〇円であるにもかかわらず、原材料の架空仕入を計上するなどの方法により右所得の一部を秘匿したうえ、同五四年三月三一日広島市中区加古町九番一号所在の広島西税務署において、同税務署長に対し、右事業年度の所得金額が二九〇、九一一、三六一円で、これに対する法人税額が一〇九、五〇七、〇〇〇円である旨の虚偽の法人税確定申告書を提出し、もって不正の行為により法人税九九、五一七、八〇〇円を免れ、

第二  同五四年一月一日から同年一二月三一日までの事業年度における同社の実際の所得金額が別紙第二のとおり五〇五、八五三、九〇六円で、これに対する法人税額が一九六、五三七、九〇〇円であるにもかかわらず、前同ようの方法により右所得の一部を秘匿したうえ、同五五年三月三一日前記広島西税務署において、同税務署長に対し、右事業年度の所得金額が二五七、三五五、一四一円で、これに対する法人税額が九七、三一〇、八〇〇円である旨の虚偽の法人税確定申告書を提出し、もって不正の行為により法人税九九、二二七、一〇〇円を免れ、

第三  同五五年一月一日から同年一二月三一日までの事業年度における同社の実際の所得金額が別紙第三のとおり八〇六、八六四、五一二円で、これに対する法人税額が三一三、八一九、六〇〇円であるにもかかわらず、前同ようの方法により右所得の一部を秘匿したうえ、同五六年三月三一日前記広島西税務署において、同税務署長に対し、右事業年度の所得金額が三九二、〇四〇、〇八八円で、これに対する法人税額が一四七、八九一、三〇〇円である旨の虚偽の法人税確定申告書を提出し、もって不正の行為により法人税一六五、九二八、三〇〇円を免れ

たもの(税額の算定は別紙第四、第五、第六記載のとおり)である。

(証拠の標目)

一  被告人田島忠雄の当公判廷における供述

一  被告人田島忠雄の検察官に対する供述調書

一  被告人田島忠雄の大蔵事務官に対する質問てん末書八通

一  中田來三、田部文彦、田島クニエの検察官に対する各供述調書

一  中田來三(四通)、田部雅晴(昭和五六年五月一三日付、五月一五日付、七月九日付、七月一〇日付、八月四日付)、田島文彦(五通)、吉田泰治(二通)、井筒史朗、秋永訓男、天部義彦、村上士郎、田島正之、森本要、田島恒、中俣季義(三通)、吉田文昭、津村三郎、田島クニエ(四通)の大蔵事務官に対する各質問てん末書

一  田島正之(二通)、小松俊作、桑原弘治、山田稔、加登英一(二通)、大谷照夫、田部雅晴(代表取締役田島忠雄名義の架空旅費について、と題する分)、森本要、田島文彦、桑原弘治各作成の各上申書

一  大蔵事務官吉岡克一(昭和五六年八月二八日付、七月八日付、八月四日付支払手数料の確定について、と題する分)、同山田智啓(同年一〇月一七日付たな卸資産の原価による除外額の確定について、と題する分、一〇月一六日付、一〇月一二日付)、同竹中衛(同年八月三日付、八月六日付)、同村木茂(同年九月三〇日付二通、一〇月一七日付)各作成の各調査事績報告書

一  幸福相互銀行高槻南支店長作成の「預金取引の照会に対する回答」と題する書面

一  被告人広島アルミニウム工業株式会社の登記簿謄本

一  押収の法人税決議書綴一綴、金銭出納帳一冊、封書入領収証(昭和五七年押第二九号の1、2、3)

判示第一、第二について

一  門崎清、西川修三の大蔵事務官に対する各質問てん末書

一  田部雅晴(金銭入納帳の入出金内容について、と題する分)、中村正彦(昭和五六年七月二七日付)各作成の各上申書

一  大蔵事務官山田智作成の昭和五六年一〇月一七日付調査事績報告書(簿外交際費の確定、と題する分)

判示第二について

一  永井滋外成の上申書

判示第二、第三について

一  田部雅晴(昭和五六年五月一四日付)、渡辺郁夫、加登英一

の大蔵事務官に対する各質問てん末書

一  中村正彦(昭和五六年七月二三日付)、津村三郎各作成の各上申書

一  大蔵事務官吉岡克一(昭和五六年七月一七日付、八月四日付従業員の慰安旅行について、と題する分)、山岡義憲各作成の各調査事績車告書

判示第三について

一  田島文治、田部雅晴(昭和五六年五月二七日付)、坂本恭三、新宅敏之の大蔵事務官に対する各質問てん末書

一  田部雅晴作成の上申書(昭和五五年中に私が管理していた現金の入出金及び残高について、と題する分)

一  大蔵事務官吉岡克一作成の昭和五六年八月一〇日付調査事績報告書

一  押収の袋入領収証等(前同押号の4)

(法令の適用)

被告人田島の判示各所為は、いずれも昭和五六年法律第五四号による改正前の法人税法一五条一項に該当するので、所定刑中各懲役刑を選択し、被告人広島アルミニウム工業株式会社については同法一六四条一項により同法一五九条一項、二項所定の罰金刑を科することとし、右は被告人らにとっていずれも刑法四五条前段の併合罪であるから、被告人広島アルミニウム工業株式会社については刑法四八条二項により所定の罰金額を合算した金額の範囲内で、被告人田島については同法四七条本文、一〇条により犯情最も重い判示第三の罪の刑に法定の加重をした刑期範囲内で、各処断することとなるところ、本件において免れた法人税額は判示のとおり合計約三億六千万円をこえる多額であり、全く架空の取引会社を設定して架空仕入を計上するなどその手段において悪質、大規模であることが認められ、被告人らの責任は決して軽くはないが、調査査察に対しては潔く非を認めて積極的に協力し、公判においても卒直に事実を認めて改悛の情を示しており、検察官の取調を受ける以前に本税、過少申告加算税、重加算税、利子税、延滞税を完納し、事業税、県市町村税など合計すれば七億円を優にこえる諸税を納付しているほか、本件に至った動機、被告人田島の経歴、性格、行状等記録によってうかがえる各段の情状を参酌して、前記金額、刑期の範囲内において、被告人広島アルミニウム工業株式会社を罰金五、〇〇〇万円に、同田島を懲役一年六月に各処するが、被告人田島については刑法二五条一項一号を適用してこの裁判確定の日から二年間右刑の執行を猶予することとする。

よって主文のとおり判決する。

(裁判官 谷口貞)

自由と民主主義を守るため、ウクライナ軍に支援を!
©大判例